2013年10月2日水曜日

【書評047】「アップル帝国の正体」後藤直義

「アップル帝国の正体」後藤直義
URL:http://goo.gl/Ft3DYy


概要:

アップルの生産、販売に関して取材した現場の声。匿名が多いが、非常に興味深い


感想:

モノ作りの先端だった日本を差し置いて、日本の技術を集約させて作られたiphone。ソニー、パナソニック、東芝、エルピーダメモリ、村田製作所、TDK、京セラなどが採用されている。そしてこういった企業も常に競争にさらされ、新しい技術があるならば世界中のどんな中小企業でもどん欲に情報収集する強さを記します。有名なのはiPodで採用されていた研磨技術。iPodの裏側は鏡みたいにピカピカだったのだが、これ人の手でやってたの知ってましたか?企業名は新潟県の「小林研業」。当初iPodの仕上げはこの会社が行ってました。

ただ、iPodの販売が成功し、生産台数が多くなってくると、人の手で仕上げるのには限界が出てくる。よって、ここからはアップル方式となる。その技術を徹底的に学び、盗み、人件費の安いところで展開し、最大化を図る。

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親方の小林は、このビデオ撮影が何を意味するのか、直感的に理解していた。01年の発売から焼く4年が経ち、右肩上がりに伸びるiPodの仕事は地場の研磨業者達の手作業ではもうこなせない量に増えていた。つまりアップルはもっと安い人件費で、大量に磨けるところへ移転するに違いなかった。
(NO.449/2734)
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最終的には台湾の鴻海精密工業が請け負うことになった。しかし新潟県燕市はいまでも研磨業で有名な場所となりアップルから求められた徹底的な技術を他に活用している。ただ、日本の技術をあっという間に飲み込み、海外展開によってコモディティ化(汎用化)するアップルのアップルだけが成功するやり方が記されていた。

そして筆者は日本の企業に関してこう表現します。

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それは、日本企業の存在感が全くもってない、という厳然たる現実だ。米国のIT・電機産業を語る中で、こちらから質問でもしない限り、取材相手から全く日本企業のことは語られない。

この帝国を取材しながら、その支配力の根源にあると感じたものがある。それは次々と登場する新しい製造技術からソフトウェアの新潮流まで、どん欲に吸収し続けることで、世界中をカバーする素晴らしい情報ネットワークを築いていることだ。これは一つの「インテリジェンス(知性)」と言ってもいいかもしれない。その欠落こそが、日本の家電メーカーがめまぐるしく移り行く家電・IT産業やビジネスのルールチェンジについていけず、凋落の道を辿っている理由ではないか
(NO.2679/2734)
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この辺、いまの家電メーカー経営陣だと難しいと思う。もう2世代ぐらい若返らないと。かつての成功イメージを捨て、自分たちの強みを再確認し、市場動向と照らし合わせ、どこで勝負するのかを決める。決めたらぶれずに進めるだけ。なんだけどそういう大企業は無い。最近は平均年齢が若い会社の経営陣も保守的な人が多くて驚く。20代でやってる仕事、業種が一生あると思ってるのだろうか?反面教師にして、柔軟に対応していきたい。




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