2013年10月10日木曜日

【書評048】「なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?」片山修

「なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?」片山修
URL:http://goo.gl/CUGT7q

概要:

ちょっと古い本。少し前サントリーの人からもらったので。でもプレモルが現在でもまだ売れているしブランドも確立出来ているのを考えれば、書いてあることはかなり正しい。


感想:

このサントリーのビール事業、とても有名なのでご存知だと思います。サントリーは数年前までは売れないウィスキーでなんとかしのいでいた会社でした。株式公開を行っておらず、一族経営だったため外部からの余計な圧力が無く事業に集中(固執)できたのが成功の原因と言われています。

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だいいち、サントリーのビール事業は1963年の参入以来、45年にわたって1円の利益も出せない「暗黒時代」が続いていた。その累積の赤字額たるや天文学的数字にのぼるとまで揶揄されていた。
(P26)
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そんな中、撤退もせずに徹底的にビールを研究。「営業」「開発」「生産」「ブランド」そして、ぶれない「経営」これらの要素と時代の流れに乗ったこともありプレミアム・モルツは成功を収める。ビール業界の圧倒的NO1であるスーパードライと並ぶぐらいまで成長出来た。では、プレモルが乗ることが出来た時代の流れとはどういうものか。

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人々はいまや、マイホームや高級車など、ステータスとしての「幸福」は求めない。背伸びせずとも、手に入れられる幸せを求めている。人とも比較しない。ブランド品で身を飾るより、自分らしい服を自分らしく着こなしたいと思う。身近でいい。小さくていい。自分自身が満足できる「幸福」を求めているのだ。

ただし、住宅にしても、車にしても食べ物にしても、こだわっているものがある。それは「本物」であるということであり、「本質」であるということである。「プレモル」は現代人が求める「本物」や「本質」のニーズに合致している。最高のものだけが持つ「本質」が「プレモル」にはあるからである。
(P98)
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こういう画一的な時代の流れから個への流れにちょっとした贅沢を提供することによってプレモルは立ち位置を確立した。スーパードライと戦うのでは無く別の価値を提供することによって成功したのである。それをハレの日と定義づけしています。

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「プレモル」はいわば ”プチ贅沢” です。基本は ”ハレの日” に飲んでもらうものですが、 ”ハレの日”
にも大小がありますね。上司に褒められたりだとか、取引先でプレゼンがうまくいったとか、さまざまなシチュエーションで
”小ハレの日”を作って「プレモル」を飲む機会を増やす提案をしていきたいと思います。
(P236)
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これ、3年前の本だと書きました。プレモルの後、サントリーは同様の考え方でハイボールを成功させてます。炭酸とレモンでウィスキーを割るなんて場末の居酒屋のメニューだと言われていたハイボールもいまやどこでも飲めるようになってます。

このプレモルから考えるのは経営の「ぶれなさ」だと思いました。圧倒的にぶれない。だから社員も信じて突き進める。突き進んだ先に大成功が待っていた。ただ45年かかりましたが。これは希有な例だと思うけどこういうぶれない経営って大事だなと改めて思いました。


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