2013年3月25日月曜日

【書評020】「企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔」松井博

「企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔」松井博

URL:http://goo.gl/BxTRf

概要:
中小国家よりも予算が大きい、いわゆる帝国と呼ばれる企業はどのような仕組みと影響をもつのか

感想:
企業の帝国化とは、「顧客を餌付けする協力な仕組み」を持ち、「業界食物連鎖のトップに立つ。とあります。マクドナルド、体に悪いんだろうなーと思っても「早くて」「安くて」「美味い」(美味いは意見あるかもしれませんが)と言う餌付けをされ、世界中で食べられてます。

じゃあ、そのマクドナルドの仕組みは書くのも遠慮したくなるぐらいえげつない作り方。それはある視点から見れば、動物虐待だし、衛生上も疑問が残る。それでも強い仕組みがあれば食べるでしょ?と本書は書きます。

同様に、主題のアップルも、ジョブズというカリスマにソフトウェア管理ツールと電話を使って人々の生活から離れさせないような仕組みを作る。でもその裏では組み立て工場での自殺者増加劣悪な労働環境(2秒単位で作業が設定されているとか)が問題化されている。そんな中でも募集をかければ3,000人が朝から並ぶのが中国。日本ならただのブラック企業って言われて終わり。

グローバル化ってのは世界中を範囲とした分業制であり、その分業範囲が正しければ他国からはありえない業務も当該国では人気職種となる。帝国化ってのはそのグローバル化を前提とした非人道的とも言える餌付けなんだと思いました。そこに綺麗ごとは無く、ビジネスで勝つためには必然であると記されています。

世界でビジネスするってことは、ものすごく厳しいってこと。どこまで効率化を極めて、どこまで非人道的にビジネスをやるのか。難しいなと重いながら読みました。そういう意味だと日本人って優しすぎるのかも。それはとても良いことなんだけど。。











2013年3月18日月曜日

【書評019】「知の逆転」吉成真由美

 「知の逆転」吉成真由美
 URL:http://goo.gl/vjvkF
 概要:ジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)、ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)、
    オリバー・サックス(Oliver Sacks)、マービン・ミンスキー(Marvin Minsky)、
    トム・レイトン(Tom Leighton)、ジェームズ・ワトソン(James D. Watson)へのインタビュー本
 感想:Amazon評価や日経での書評ですごい評価が高かった本で読んでみたいと思ってました。

    ほぼ70歳以上の人が多いので、示唆に飛んだ表現がたくさんありました。
    確かに気づきもある。
    でもそれ以上に新しいものに対する許容が出来ないんだなと思いました。

    特にインターネットについて一人(アカマイ創業者のトム・レイトン)以外は
    全員が否定的だったのは残念でした。

    サックスは、検索は便利だけど、email はダメだと書く。emailのせいで
    正しいコミュニケーションが取れなくなったと。
    ミンスキーはSNSから有用な情報は手に入らないと断言する。
    チョムスキーは、意味の無い、時に害を成すコミュニケーションが発生すると書く。
    (カルト集団など)

    ネット業界でずっと働く身としては、インターネットで社会は良くも悪くも
    変わったと思ってます。それを悪い面だけ評価し、昔は良かったと表した本ならば
    この老害達へのインタビューを絶賛してるのも65以上の定年して懐古主義な
    人達であり、本書もそういう懐古主義者への慰め本でしかないなと思いました。

    新しいものを理解し、許容する能力が無いのはとても悲しいと思う。
    年を取るときの反面教師にしたいです。そういう意味で良い本でした。




2013年3月12日火曜日

【書評018】「次の会議までに読んでおくように! ~モダンミーティング7つの原則」 アル・ピタンパリ(Al Pittampalli)

 「次の会議までに読んでおくように! ~モダンミーティング7つの原則」 アル・ピタンパリ(Al Pittampalli)
 URL:http://goo.gl/nMCuN
 概要:ダラダラMTGをモダンミーティングに切り替えよう
 感想:どの会社でも定例や会議はあるけど、世の中には本当に、
    「会議のために会議」が存在する。僕の前職はそんな無駄な会議多かったです。
    と言うか、役員はそれしかやってなかったような。

    本書で示されているモダンミーティングは、
    ---------
    1.すでに決めたことの支持を得るために行う
    2.速く進め、時間通りに終わる
    3.参加者数を限定する
    4.準備不足は許されない
    5.明確なアクションプランができあがる
    6.情報提供はしない。メモを読んでおくことは必須である
    7.ブレーンストーミングの文化とセットで機能する
    ---------
    と定義。

    特に、5に関しては次のように記されている。
    「知る必要があるのは、意思決定とアクションプランだけ。
    参加を要請されたのにミーティング後に担当するアクションプランが
    なかった場合、次の参加を断ってもよい。」は参考になります。

    自分で考え、自分で決定する。決定した役割はすぐに果たす。
    役割が無いならそのMTGに参加する必要があるのかを再考する。
    そのための情報を前もって手に入れておく。
    ふと自分のスケジュール確認しても、定例会議が多くなってきてるので
    何が必要なのか、無駄な時間が無いかを考えながら行動したいと思いました。





2013年3月5日火曜日

【書評017】「キャパの十字架」沢木耕太郎

 「キャパの十字架」沢木耕太郎
 URL:http://goo.gl/XG9IE
 概要:キャパの代表作「崩れ落ちる兵士」に対しての沢木耕太郎による新しい仮説
 感想:「突撃する兵士」と「崩れ落ちる兵士」が同時に撮られていたこと。
    キャパとゲルダがそれを同時に撮影していたこと。を大胆な仮説と膨大な調査
    により紐解いてました。下手な小説よりも面白かったです。

    嘘で作った「崩れ落ちる兵士」と言う作品に対して負い目を背負ったキャパは、
    影響の大きさに真実を語りませんでした。その行為に懺悔するように写真を
    撮り続け、最後ノルマンディー作戦の作品でやっと本当の戦場カメラマン、
    報道に携わることが出来たんだと記します。

    そして、この作品が真贋問わずキャパへの親愛は変わらないことを記し本書を
    締めくくってます。沢木耕太郎は相変わらず良い作品書くなと思った一冊でした。
    (「深夜特急」しか読んだことないならもったいない)
    これ読んで、横浜美術館行くのをオススメします。3月24日まで。



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