2013年2月26日火曜日

【書評016】「JAL再生―高収益企業への転換 」引頭 麻実

 「JAL再生―高収益企業への転換 」引頭 麻実
 URL:http://goo.gl/zZCUh
 概要:破綻前の508億円赤字からの回復に至った行程を記した本
 感想:単的に書くと、「当たり前のことを当たり前に行う」ことにより業績回復。
    ただ、その「当たり前」の考え方が違えば、実行するのは難しい。
    破綻したJALでも、その実行は不可能に近かった。と言うか自分たちが
    おかしいと思ってなかった。

    立て直しを目標とした稲森さんは京セラでの実績をそのまま当てはめた。
    稲森イズムの徹底した浸透。意義・目標を明確化し、強い意志で決定し、
    従業員・顧客を思いやり、前向きに日々改善する。
    http://www.csconsult.co.jp/inamoriism.html
    JALの改善とは京セラでの成功事例を踏襲したものだった。

    僕たちは日々の業務をなるべく効率的に生産性をあげようと日々努力します。
    ただ時に当たり前となっている業務が誰のための、どういう効果を目標と
    しているかを確認する必要があると思いました。そういう定期的な確認も
    当たり前なんだけど、意外とできていないことが多い。



2013年2月21日木曜日

【書評番外】「人事制度など稚拙でいい 」鈴木幸一(IIJ社長)

 「人事制度など稚拙でいい 」鈴木幸一(IIJ社長)
 URL:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK08015_Y3A200C1000000/
 概要:日経の経営者ブログを読んでいたら、少し思うことがあったので紹介。
 感想:

まず驚いたのが、IIJでは社員数が700人程度になるまで
細かい人事制度がなかったと言うこと。プロ野球の契約更改のように
一人一人と面談し、社長自身が給与と賞与を決めていた。

いかにもオーナー社長っぽいですね。おもしろい評価や社内のシステムが
ある会社はだいたいオーナー社長がいる企業だと思います。こういう
ところで働くには、いかに社長が魅力的かってこと。悪く言えば宗教。

ただし、ある程度の規模(700人も充分大規模だけど)になった時は
そういうやり方だと時間が足りないし、そこまで労力を使えない。
鈴木社長は下記のように現状を締めくくっている。

「管理と守りに習熟した上司、あるいは担当の役員が、若い才能が羽ばたける
 ような環境をいつも作ってくれることができれば、それに越したことはない
 のだが、管理者の存在が、若い才能が羽ばたける機会を与えるより、プレッ
 シャーとなり、壁になるような組織になり始めているのではないかと、この
 時期になると、心配になるのである。

 人事制度など、どんなに稚拙でも構わない、集まってくれている2000人を超
 す社員一人ひとりが、その能力を伸ばし、自己実現の場として最適な組織と
 して機能すれば、それこそが、IIJがこの世界で、イニシアチブをとり続け、
 発展できる唯一の形なのである。そのためにこそ、緻密な人事制度が必要な
 のだと、人事の担当者は反論したいのだろうが、難しいものである。

 今年は、思い切った人事をして、若い才能が思い切りその能力を伸ばせるよ
 うにしようと思うのだが、なかなか妙案はない。」

誰もが満足する人事制度って無いと思う。その時その時でなるべく現状を
把握して、ベストでは無いにしてもベターな選択を続けて、少しでも良い環境を
作るしか無いんじゃないでしょうか。

金曜日の全社会議で伝えた変更点も、伝わりにくいかもしれないけど、現状で
考えられる一つのベターな変更点だったと少しでも理解してもらえると良いと思う。
IIJっていうネット企業の老舗さえ検討し続けている課題。いまの会社も、
模索をし続けていくと思うので、思ったことは上司やマネージャーにどんどん言って
ください。あきらめないで言い続けることも大事です。

この日経の経営者ブログ、最近読み始めたのですが、錚々たるメンツが長文書いてます。
ネット系には合わない意見も多いですが、今回のような普遍的なテーマ(人事・評価・
報酬・マネジメント・大規模組織運営など)に対しては参考になる文章も多いので時々紹介します。








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【書評015】「デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか」木村 忠正

 「デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか」木村 忠正
 URL:http://goo.gl/9jAvj
 概要:生まれた時からPC・携帯がある世代はどのようにコミュニケーションをとるのか、
    を文化人類学社が人類学の手法を使って解析。
 感想:まずはデジタルネイティブを4つに分類。
    ・弟1世代(1982年以前生まれ)は、ポケベル、
ピッチ世代でコンテンツは不十分で
    親指族といわれる絵文字や装飾が重んじられ、パソコンネットでは大学ネット化が
    始まったが、オンラインはオフラインに従属。
    ・弟2世代(1983-87年生まれ)高校時代バケット代を気にしながら携帯メールを使う。
    小学校の「総合的学習」でパソコンを使い出し、大学時代ミクシィを使う。
    ・弟3世代(1988-90年生まれ)は中高でパソコンの「情報」授業が必修化、
    高校でバケット定額制となり、携帯ブログ・リアルが流行し、動画サイトが普及する。
    ミクシィからツイッターへ。
    ・弟4世代(1991年以降生まれ)は小学校でパソコン授業、中学でバケット定額制になり、
    濃密な集団圧力で携帯利用、複数のソーシャルネットサービスを使い分け、オンラインと
    オフラインの区別もあいまいになる。

    そして、3つのSNSを下記のように分類
    「mixi」→「コミュニティ」
     (集団の成員同士が互いに顔見知りになり、情緒的親密さを含んだ長期継続的、
      安定的関係を形成する原理)
    「Facebook」→「ソサエティ」(近代社会、産業社会の進展に伴う空間におけるつながり原理)
    「Twitter」→「コネクション」(高度に個化が進展した主体が他者や資源とのつながりのあり方)

    Facebookがtwitterより利用者が増えない原因を、
    「高度に個化が進展した消費社会では、継続的で安定的関係を期待することが難しくなっているため
    それが、空気を読んだり、相手との距離を気にしたりしなくてはならない電話やメールでなく
    自由に発信できるツイッター利用の拡大へとつながっている」
    と解説する。

    世代の分け方や、SNSの定義については面白い考え方だが、
    その解説それぞれがつながりが無かった。最終的には、デジタルネイティブとはいえ、
    それ以前の世代とコミュニケーション本質は変わらないとのこと。
    デジタルでもリアルでもコミュニケーションで悩みながら関係を探っていると締める。

    だとしたら、この著者の分析は少し足りないのではと思ってしまった。
    もっと端的に書けば、当たり前のことを結論にするなら本書くなと思いました。
    タイトルは惹かれる本だったんだけど。。




2013年2月4日月曜日

【書評014】「微博(ウェイボー)の衝撃」李小牧

 「微博(ウェイボー)の衝撃」李小牧
 URL:http://goo.gl/xmwVu
 概要:「中国版ツイッター」と言われる微博の成り立ちとその影響力
 感想:年が明けてから、「微博」の話しをよく聞いたので読んでみました。
    ちなみに、先週起こった、「花火を積んだトラックが爆発で橋が壊れた」
    も第一報は近隣に住む人の「微博」投稿だったらしいです。

    利用ユーザ4億人、アクティブ3.5億人(twitter5億人、アクティブ2億人)
    ユーザの3割が19~24歳、2割が25~30歳。
    規制が強い中国において、微博は比較的表現に対して規制は緩やか。

    中国政府は、微博を下記のように捉えている。
    ・政治革命(ジャスミン革命)までは起こらない。起こっても行政改革まで。
    ・経済的発展が続く限り、微博は市民のガス抜きとして使える。
    ・一見、twitterと同じだが国内サービスと言うことで、コントロール配下。

    個人的には、微博が中国の情報統制を崩すかと思っていたけど
    本書を読む限りは、中国政府にとって使い勝手の良いツールなんだと理解。
    ただし、微博はじわじわとコントロールできない速度で拡散力を強めている。

    ある程度コントロールできなくなったら、突然サービス停止になると思う。
    ただ、こういうサービスが一度出れば、廃止にしても他サービスで市民主張は
    発生する。利用ユーザが若いことからも、この利用層が40代になってくれば
    中国の情報統制は難しくなる。

    その時初めて、市場も開放されるし、10億人と対等な競争が生まれる。
    松下幸之助は商売の神だけど、中国進出を無理に押し進めたのは失敗だった。
    それまでは中・韓以外の国でビジネス展開するのが正しいと思いました。




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