2013年4月23日火曜日

【書評024】「起業家 」藤田晋

「起業家 」藤田晋
URL:http://goo.gl/i3Ta0

 概要:

メディア事業を立ち上げないといけない。と言う思いは2001年からあった。ただし、「任せて伸ばす」
と言う方針のため、藤田自身がメディア事業に専念することはなかった。広告事業で伸ばし続ける中、メディア事業は万年赤字計上部門に。思いはあるがうまくいかない。自分の匿名ブログの影響度や広がり方からアメブロに全てをつぎ込むことを決意、2年で30億PVいかなければ辞める宣言。最後は死ぬ気で事業に専念し、なんとか光が見えてくる。

 感想:

概要から長くなりましたが、CA藤田さんの新作。メディアやりたいと思い続けて少しずつ決意を固めていった経緯が書かれています。

個人的にはCAはクリック型広告を売る、チャラい代理店と言うイメージしかありませんでした。最近はCAの圧倒的パワーを思い知らされてる感じです。ネット広告では先読み力が強い。新しそうなものにはとにかくトライしている気がします。メディア事業、もっと早く本腰入れろよ!と言う感想もありますが、他社がSNSに移行していく中、blogを成功させpiggにつなげたのはすごいです。腹括った人間は強いですね。それが社長ならもっと強い。

あと本書に印象的な記載がありました。
----------------------------------------------
ライブドアとは良きライバルでしたが、上場した時期も、売上規模も、従業員数も、メディアからの注目度も、我々がいつも少しリードしていたような感覚でした。

(中略)

「その頃からネット企業と言えば、『ヤフー 楽天
ライブドア』と言われ始めました。正直に言えば、その2社と並ぶ程の規模でもサービスでも全然なかったのがライブドアの内実だったのですが、堀江さんの知名度に世間が誤解してユーザーが集まってきているうちに、サービスを立派にすることができさえすればいいのです。私は起業してから初めて、同世代のライバル経営者に引き離され、置いていかれるような感覚を味わいました。
----------------------------------------------

CAはさっき書いたように、勢いで上場した調子にノッてる怪しい代理店ぐらいの印象。藤田さんの記載もこういうイメージにあったんだろうなと当時を思い出して納得。

一点気になったのがグリーのことが書いてない。アメーバピグ成功要因にグリーの成功があると思うのだが、一言も田中良和のことを書いてない。年下は相手にしないのかな?「グリー モバゲー アメーバ」で成功したと思ってるので、その点についても書いて欲しかった。



あと、この本に関して某出版社の人に面白い話(噂)を聞いたのでそれも書きます。

・今回の「起業家」、原稿自体は2年以上前に脱稿していた
・ホリエモンとの記述は厚めに記載して欲しいと出版社側から依頼
ホリエモンの懲役が確定するかを見極めてから発売時期を決めることに
・幻冬舎としては最大限売り込みたいので出所を待つことに
幻冬舎としては藤田と良好な関係を繋ぎたいので社長の見城と共著を2冊刊行
そう言われれば本書はamebaの成功で終わっていてその後は突然amebaスマホの大プロモの時期に飛ぶ
ホリエモン出所に合わせてビジネス層以外にも大きく売ろうとしたが、、
・出所の時期が村上春樹、本屋大賞とかぶる
・幻冬舎がっくり

文藝春秋 村上春樹 「色彩を持たない(以下略)」
講談社 百田尚樹 「海賊とよばれた男」
幻冬舎 藤田晋 「起業家」

・本屋大賞、講談社は2回目。講談社的には棚ぼた
・文芸春秋が万全の準備で村上春樹の新作を本屋大賞にぶつける
・講談社がっくり

売れる本しか売れない時代。発売時期の見極めが会社の業績を左右する。出版業界も大変だなと思いました。




【送料無料】起業家 [ 藤田晋 ]
【送料無料】起業家 [ 藤田晋 ]
価格:1,575円(税込、送料込)

2013年4月15日月曜日

【書評023】「マネー・ボール 」マイケル・ルイス

 「マネー・ボール 」マイケル・ルイス
 URL:http://goo.gl/Xr8lr

 概要:貧乏球団アスレチックスが、金をかけずにどのように
    強豪球団になっていったか。古典なので、読んだことある人も多いと思うが。
    今週はコレにしました。

 感想:
当時の球界では四球や出塁率などいままで価値を見いださなかった
    基準を見極め、新たに評価していく。既成概念に捉われず
    モノマニア的に追求した考え方から新しい基準は生まれると記す。

    これまでのやり方をすべて疑い、ベテラン達(上司)の反発のなかで
    改革を実行していく。ベテラン達(上司)正しいと思い
    こんでいる事象を疑ってかかるのは非常に難しい。

    ゼネラルマネジャーのビリー・ビーンは組織の勝利を最優先し、
    私情を一切挟なかった。埋もれた才能を再発見する一方で、
    あと4日でメジャー10年に達し、年金の資格を得られる選手を
    解雇することも厭なかった。

    また、「ただの太ったキャッチャー」と言われたブラウンの
    評価は「下の下」。ところが、ビーンは「四球が多いから」
    を理由に獲得に動く。大学での成績は、300安打200四球。
    四球の数では全米トップでした。

    これも今までの考え方とは異なる考え方でした。
    得点を奪うために、まず重要なのは「出塁すること」と考え、
    安打でも四球でも、出塁するという「結果」と得点への貢献度
    を同じと試算。それに四球の多い選手は高打率の選手より年俸が安く、
    「費用対効果が高い」と結論づけます。

    このように一見、常識外で珍説にみえる意見も、もしかしたら
    新しい見解を与えてくれるかもしれない。自分たちの経験や
    思い込みだけで物事を進めることの危険性を示してくれている
    本だと思いました。

    例えば新卒の率直な意見は、稚拙で常識外に思える意見かも
    しれないけれど、そこから何か気づきがあるかもしれない。
    ぐらいの態度で接する上司でありたいなと思ったり。

    年取れば取る程、今までの経験に固執しがちなんだけど、
    それはなるべく避けていたいなと改めて思いました。
    特にweb広告業界は何年も通用する成功パターンなんて無いのだから。




2013年4月8日月曜日

【書評022】「弁証法はどういう科学か 」三浦 つとむ

 「弁証法はどういう科学か 」三浦 つとむ
 URL:http://goo.gl/ATL0z

 概要:量質転化の法則

 感想:弁証法はとても難しかった。理解に至ってない。
    今回この本を読んだのは概要でも書いた「量質
    転化の法則」が書いてあり、知りたいと思ったので。

    この言葉自体と定義自体はとても分かりやすい。
    仕事で考えれば、最初から質の高い仕事を出来る
    人間なんていない。最初はあくまでも簡単な作業
    を続け、量をこなすしか無い。

    その簡単な作業はある時、当初必要とした時間を
    要することなく完了することができる。そして余裕が
    出来た時間を新しい作業に使うことが出来る。

    そういう「量」をこなし続けることによって、
    あるティッピングポイントを超えた時、「質」の
    高い仕事に変わっていっていると言うこと。

    新卒と話すと、知らなかったり、出来なかったり
    することに対して必要以上に萎縮している気がしました。
    最初は出来なくて当然。今は量をこなして学び続ける時。

    とにかく、ありとあらゆる情報と作業を吸収して欲しい。
    がむしゃらに目の前のことをやってれば、
    ある瞬間に自分の成長を実感することができるはず。
    たくさんの「量」をこなし、「質」へと転化する。
    みんなそれを待ってます。