2013年7月22日月曜日

【書評037】「クレジットカードの知識」水上宏明

「クレジットカードの知識」水上宏明
URL:http://goo.gl/xl4gbf


概要:

クレジットカードのビジネスモデル、問題点を記載
貸金業法改正後に改訂された


感想:

クレカ、誰もが1枚は持ってると思います。「年会費無料」「ポイント競争激化」「edy、suicaなど電子マネー普及による決済の小額化」などサービス過多となり、一見収益が減少しているように見える。しかし、取扱高は拡がっており、その収益源はキャッシングとなる。よって、先週と同様、貸金業法改正に関しては大きな影響を受けた業界である。

40.004%→29.2%→20%以下と引き下げられてきた貸付利率による収益低下、2006年1月に「有効な利息の債務の弁済とみなさない」と判決がでた過払い金請求問題などにより、消費者金融単体会社は成り行きが行かなくなりました。ただし、ATMからの引き出しを可能とし、その手数料は貸金業法には影響しなかった。

銀行側から考えると、バブル経済崩壊後の不良債権問題、リーマンショックなどで倒産と合併を繰り返しなんとか生き延びたのが現状です。その銀行側からみて一番攻めやすい分野が個人リテールといわれるキャッシング分野。そのキャッシング分野を攻めるにあたっての一番適したアプローチがクレジットカード分野強化となる。まとめると、


<消費者金融>
・貸金業法改正
・過払い金請求問題
・収益悪化、単体では成行かず

<銀行>
・バブル崩壊後の不良債権問題
・リーマンショック
・新たな収益をキャッシングに定め、クレカ強化

<クレカ>
・収益低下(会費無料、ポイント強化、手数料引下げ)
・主な収益はキャッシング
・銀行との連携強化(ATMでの利用開始など)


となる。
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今回の規制は、消費者金融のマーケットから貸金業者を締め出して、銀行に渡す為のものである、と指摘する意見があります。銀行がどの程度このマーケットからの収益を期待しているかはわかりませんが、ATM手数料の扱いを見ると、当局の意図がそんなところにあるというのも、あながち間違っていないように思います。
(P70)

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貸金業法が制定された翌年、同法を所管することになった大蔵省が設置した金融問題研究会は「我が国における消費者信用のあり方」について研究し、「銀行が、消費者に対して良質な資金を安定的に供給していくこと」を低減しました。
(P128)

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本書は、基本的なクレジットカードのビジネスモデルを解説しながら、問題点を明記する。それは収益がキャッシングに偏りすぎていること。この本を読むとすでにクレジットカード業界と言うものは無く、クレカ→キャッシングと言う転換が一番容易なため、クレカ市場が伸びていると言うことも分かりました。

キャッシングを狙う、銀行。その銀行はギャンブルっぽいベンチャー投資を抑制しつつある。そこに目をつけたベンチャーキャピタル各社。あまり出来上がっていなビジネスモデルにも積極的に投資している。これはいいことなのか、悪いことなのか。投資はギャンブルだけど、銀行からみると「キャッシング>ベンチャー投資」なのが分かります。



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