2013年7月11日木曜日

【書評035】「小泉進次郎の闘う言葉」常井健一

「小泉進次郎の闘う言葉」常井健一
URL:http://goo.gl/e7AvN

概要:

選挙が近いので。
自民党の広告塔、小泉進次郎を半年追った本。


感想:

小泉進次郎、4代目の政治家。政治家歴わずか4年、当選2回生。その知名度は抜群だがプロフィールを正確に知っている人はいない
「総理の長男」「慶応ボーイ」「ハーバード大学留学」
ではなく、
「総理の次男」、「関東学院大学卒」「コロンビア大学留学」

読んだ感想は、圧倒的な政治家エリート。政治家として見られることを常に意識し、どうすれば一番票が集まるのかを徹底的に教育されていると思ったその進次郎が一番力を入れているのが被災地への訪問と対策への喚起。

2011年3月11日に起こった大震災に対し、約1年で30回の訪問。月平均3回は訪問し、現地の声を聞く。

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「私達の原発政策で自己を起こしてしまったこと、大変申し訳ございませんでした」2012年6月24日、進次郎氏は、絆カフェ・富岡の冊子の引き戸を開け、中に入る前にそう言って頭を下げた。
富岡町民の間では、「政治家なのに第一声が謝罪だったのよ」と語り草になっている。(p105)
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大槌町の別会場では、若い男性がこう話しかけた。
「私、政治家は都合のいいことばかり言うので会うのも嫌なんですが、進次郎さんはしっかり被災地を回っている。だから、今日ここに来ました。(P111)
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このように、1回の訪問が、被災地では全て語りぐさとなっている。この本を読んで分かるのは、小泉進次郎は被災地対策を自分の象徴にしようとしているということ。昨年の衆院選では選挙応援で一日に3県を回るのが普通な進次郎にとって、1年で30回は余程の調整と気合いがないと行けないんじゃないかなと思いました。

その他にもテーマがあり、「若者」への対策。年金、医療保険、就職など現在政治家が票にならないため、あまり力を入れないテーマに対して積極的に活動を行っている。32歳、本人の年齢を考えれば当然だろう、と思われそうだが、その象徴的なテーマに力を入れながら、高齢者からも指示を得るところが小泉進次郎の強さ。

だから、自分の知名度を理解し、それを利用する。地方にいけば、その地方の人が喜ぶネタを話し、高齢の女性には特に優しくする。客寄せパンダと言われても構わず、自分がどう見られているかを意識し行動する。著者が半年密着してもこの「小泉進次郎」と言うキャラはぶれることが無かった。

結果、圧倒的な知名度と人気、開票速報でも「開票0%」で当確が出る。小泉純一郎からアドバイスは受けてないと言うが、代々受け継がれた考え方があるに決まっている。

この、「顧客(有権者)ターゲティング」「リーチ(票獲得)戦略」は正解だし、とても強いと思いました。このターゲティングと戦略付け、何にでも当てはまるけど、ここまで当てはまっていると見てて気持ちいいです。

今回の参議院選挙が終わると、恐らく3年間国政選挙は無いです。と言うことは、3年は今の路線が続くと言うこと。しかもねじれ国会が終わる今年後半からはいろいろと自民党が施策を打ってくるはず。そんな中、自民党と言う旧態依然とした組織において、若者重視、(本当の)被災地重視である小泉進次郎がどのような発言と行動をするのか興味深いなと思いました。


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