2013年7月16日火曜日

【書評036】「理解されないビジネスモデル 消費者金融」藤沢久美

「理解されないビジネスモデル 消費者金融」藤沢久美
URL:http://goo.gl/ioxsq


概要:

消費者金融の成り立ちから、そのビジネスモデルまで。
消費者金融業側からの意見。2008年の本。
簡単に書くと、理念は素晴らしいが儲かりすぎて、競合多数、苛烈競争で国から規制。中小は潰れ、大手のみ銀行傘下で生き残る。


感想:

個人金融と言えば、「質屋」が代表的だった時代、物々交換ではなく、サラリーマンであれば、無担保・即時で貸し出しを行ったのが、消費者金融の始まり。「勤め人信用貸し」→「サラリーマン・クレジット・ローン」→「サラリーローン」→「消費者ローン」と呼び方が変わっていった。

銀行は、法人中心であり、預金はもらうが貸し出しは行わなかった。唯一個人に貸し出したのは「住宅ローン」のみ。そんな中、サラリーマンの25%が消費者金融を利用している。約1/4。この大きさに驚いた。この本に出てくる、アコム会長の木下や、レイク社長の谷口(どちらも2008年当時)もその小口金融に使命を感じて業務に対応しているのが書いてある

この考え方が正しく、業績は急拡大。上場する会社も出てきて、過剰な競争に各社が至ることに。結果、多重債務者の激増、商工ローン問題発生、暴力的な取り立てなどのバッシングを受け、2006年12月に貸金業法成立に至る。貸金業法に関しては反発もありますが、ユニワード社長は下記の通り記載。


ユニワード株式会社 代表取締役 饗庭(過払い金請求で2010年倒産)
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私たちが、派手なテレビCMや屋外看板と言う形でしか社会から認識され得なかったのは、ある意味で、「分相応」の行動ができなかったからでしょう。消費者金融業は社会に不可欠なものではありますが、目立つべき総菜ではありません。自らの分をわきまえていたら、過払い金返還請求もここまでエスカレートしなかったのではないかという気がします。
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この本は2008年に出版されたので、いわゆるグレーゾーン金利問題、総量規制、過払い金請求など真っ只中。2013年からみると、資金力の無い中小は潰れ、大手も銀行系に入り、なんとか過払い金請求から生き延びた。ただし、個人金融の需要は無くならず、その受け皿が大手消費者金融ではなく、銀行系のカードローンが担っている。昔は、武富士のCM(踊ってるやつ)が深夜に流れ続け、小野真弓が「はじめてのアコム♪」を連呼し、アイフルが犬を出す。

いまは、阿部寛が三菱東京UFJカードローンを宣伝しまくってる。プロミスが相武紗季で対抗って感じでしょうか。アコムのタモリは確かに驚いた記憶がある。業界としてはあまり変わってない印象。ただ、個人に対しての「無担保」「即時」貸し出しに対するリスク管理は銀行に無いノウハウ。ここの強みが無くならない限り、引き続き需要が多い業界だと知りました。勉強になった。

このバッシングされまくっている業界側視点の本はあまり無かったので、社員の人はこういう気持ちで働いてるんだろうなと思いました。パチンコ業界の人間が「総合エンターテイメントを提供してます(`・ω・´)」となんの躊躇もなく言っているように。



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