2013年5月27日月曜日

【書評029】「ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える」VMショーンベルガー&Kクキエ

「ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える」VMショーンベルガー&Kクキエ
URL:http://goo.gl/qIGBj

 概要:

ビックデータの意義とそれに伴う社会変化の予想


 感想:

「ビックデータ」と言う単語はよく見るのですが、もう少し具体的に知りたいと思い読みました。すごく面白い本です。2日で一気に読みました。


・ビックデータは限りなく全てのデータを扱う
・量さえあれば精度は重要ではない
・因果関係ではなく相関関係が重要になる


これが全て。

つまり少ない情報からその傾向を見極めより正しいと思われる結論を導きだすのが「統計学」だとするならば、ビックデータは「全てのデータ」から答えを導きだすので、そこに学問は必要なくなる。必要なのは相関関係を導きだす手法だけ。とにかく全てから導きだす。

そして、個別の一つ一つのデータが正確で無くてよい。ただ、その正確ではないデータでも圧倒的な量から答えを導きだすので、最終的には正しい答えが提供される。

よって、「なぜこの結果になったか」と言う考察は必要なくなる。人間が一番の思考原泉とする「因果関係」が必要なくなる。その為、いきなり答えが提示される。そしてその答えには納得性は無い。ただ答えがあるだけ。


最近だと将棋の「電脳戦」が当てはまる。コンピュータは全てのデータから一番点数の高い(正しいと思われる)一手を指す。その一手は、人間である棋士にはなぜそこに手を打ったのかが分からないし、その手がどういう影響を及ぼすのかも分からない。コンピュータはなぜそこに手を打ったか考える必要は無い。ただ全てのデータから導きだした答えだから。


ここまで書くと、人の判断ってのは将来必要なくなるように思えるが著者は最後にこう記す。
------------------------------------------------------------------
ところが発明のひらめきは、データには語れない。まだ存在していないのだから、いくらデータ量を増やしたからと言って、裏付けや確証が得られるものではないのだ。自動車王ヘンリーフォードには「車がない時代に【欲しいものはなにか】と人々に尋ねたら【もっと速い馬が欲しい】と答えただろう」という有名な発言がある。
------------------------------------------------------------------

データが無ければ相関関係も気づけない。人間は「独創性」「直感」「知的野心」といった特質を磨き上げることがとても大事なんだと感じました。
ビックデータ系の本面白いので、もう数冊読んでみます。



0 件のコメント:

コメントを投稿