2013年9月18日水曜日

【書評045】「データサイエンティスト(data scientist)」橋本大也

「データサイエンティスト(data scientist)」橋本大也
URL:http://goo.gl/kXLQMr


概要:

ビッグデータを解析、分析する人という意味で使われ始めた「データサイエンティスト」著者が現在考えるデータサイエンティストの解説と求められる資質


感想:

ビックデータ関連の本と合わせて読むと、とても面白いし、今後のビジネスの進め方やマーケティング手法が変わることを実感する本でした。

データサイエンティストとは何ぞや?例えば、2012年、Microsoftがテクノロジー業界で最もホットな専門職を以下の3つを提示したことがある。


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1:データマイニング、機会学習、人工知能、自然言語処理
2:ビジネスインテリジェンス(BI)、競合情報分析
3:分析、統計。特にウェブ解析、A/Bテストや統計分析
(P22)
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全て、大量の情報を分析する仕事に関わる職種ばかりとなる。そして、データサイエンティストとはこの3つを統合した先にあるのではないかと著者は記します。そして、著者は自身の考える、データサイエンティストに必要な3つの能力を続けて記します。


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1:統計とITの能力
2:ビジネスの問題を発見し解決する能力
3:創造的な提案を行う能力
(P32)
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著者は、単なる分析屋で終わるならば、データサイエンティストと言う職種は一時的な盛り上がりはあっても、定着しない職種であると記載します。あくまでも「分析」「発見」「解決」「提案」を行っての定着だと協調を行い、既存の研究者や分析部門とは一線を画することを提案します。

また、現在ビックデータと言われる新しめのwebから取得出来るデータを一番活用出来ている会社としてyahooを紹介。yahooには「データソリューション本部」と言う部署があり、そこにはデータスペシャリストと言う名で200人近くがデータの分析と提案を行っている。例えば、検索窓の高さを22ピクセルから28ピクセルに拡大させて、売上を4.8億増大させたなどは読んでいて面白いなと思いました。

著者は一貫して、データサイエンティストはサイエンティストではなくビジネスパーソンだと書きます。しかし、サイエンティストと言う単語を使っている限りにおいては「分析屋」の範疇から出られないことも想定し、もう一つの単語「グロースハッカー(growth
hacker)」を紹介。日本訳だと「成長請負人」、卓越した技術力に酔ってウェブサービスの成長を実現する職種を指す。

元ペイパルのデーブ・マクルアはグロースハッカーの用いるべきデータ分析モデルとしてAARRRモデルを提唱している。


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1:Acquisition(獲得)
2:Activation(定着)
3:Retention(継続)
4:Referral(紹介)
5:Revenue(収益)
(P200)
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AIDMAと似てる感じがするけど、大きく違うのは、Attentionは計測出来ないが、Acquisitionは計測ができると言うこと。これだけでも分析やその後の提案に大きな差が生じる。よってAARRRモデルがいいですよ、と。

最後にソフトバンクモバイルのデータ活用に関するインタビューがあるのだが、これを最後に持ってくる理由も明確に感じました。


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---ソフトバンクの中に「データサイエンティスト」という肩書きの人はいるのでしょうか

いません。全社を通じていないと思います。分析の役割を担う人間と言う意味では、各部署に散らばっていて、事業会社として何らかの形で数値を扱う部門であれば、各部、各課といった単位で分析を行っているというのが現状です。


---データ分析を行う人は理系がメインなのでしょうか

私は文系です。あまりそういった区分はしないですね。理系であれ文系であれ、数字に強くないとやっていけない会社ですので、何かやりたいことがあったとき、それを裏付ける数字を示せないと提案が通りません。
(P223)
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データサイエンティストは、サイエンティストでは無く、ビジネスパーソン。特別な職種では無いと何度も記します。だから、文系、理系関係無く誰もが身につけるべきスキルだとも。ビックデータ→データサイエンティストの流れを単なる分析屋で終わらせないと言うメッセージを強く感じました。




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